Nozomi = 望み

 

Nozomi は、西洋と東洋のアート、建築、空間用途を比較することにより浮かび上がる、様々な見解や認識性の違い、また、空間表象に着目し、多義に渡る学問分野から研究を進めていくプロジェクトです。ここ数年に渡りエジンバラ芸術大学、ダンディーのダンカン・オブ・ジョルダンストーン芸術・デザイン大学、そして日本の大学・研究組織が共に築き上げてきた協力関係により、実現に至りました。

 

 

Nozomi発足の背景

 

Nozomiプロジェクト発足の背景には、日本とスコットランドに根付く思想や、アート作品の共通性に注目し、互いの情報を発信/交換し合うという目的があります。それにより、空間性に対する見解や認識など、両国それぞれの文脈からの分析を可能にします。また、 プロジェクト内で積極的に 都市計画とアートの関係性について議論を交わし合うことで、新たな知の領域を開いていくことも試みます。そうした議論の成果が、時に、否応にも異文化プロジェクトを運営する難しさを浮き彫りにしていくこととなるかもしれません。

 

Nozomiが目指すのは、ビジュアルアートと建築の融合により生まれる、新しい領域の研究、及び定義です。また、今後その領域を展示という形で糸付け、広く発表していくことで、現代思想の中で浮かび上がるコミュニケーション問題、また、空間、形状に関するネガティブな要素も示唆していきます。

 

私たちの取り組みは、非常に多面的な学問分野から行われ、今後更に斬新で発展性を持った「持続性」へと繋がっていきます。このような領域は、かつての西洋における啓蒙思想の継承に繋がると共に、パトリック・ゲディスが取り組んだ 比較生物学論にも関係していきます。

 

 

近年のプロジェクト

 

中山庵

 

京都の近くに建立された中山庵は、主に展覧会やワークショップなどの場として使用されています。 限りなくシンプルな形状を持つこの小さな庵と対峙することで、アーティスト、建築家、作家は、改めてその空間を捉えなおし、独自の接点を見出していきます。また、伝統的な手法を用い、その土地ならではの特有性を持ち合わせたこの建築は、西洋と東洋におけるアートと建築の表現に、新しい視点を与えてくれます。

ここに訪れたアーティスト、デザイナー、建築家が、この空間とどのように対峙し、斬新なプロジェクトへと展開させていったのかは、今後、出版物やウェブ上で公開していく予定です。

中山庵は、京都にあるギャラリーヴァイスラームにより、運営されています。

 

中山庵にてプロジェクトを行ったアーティスト:

藤井隆也、デヴィッド・ウィリアムス(20058月)

トム・クラーク、ロジャー・アクリング(200511月)

 

 

 

 

常栄寺に残された20の祝祷 日本/山口県

200511月  トーマス・A・クラーク

 

 

ロジャー・アクリングとトム・クラークは、2005年の11月に来日し、山口県の現代美術センター、京都などを訪れました。その際、トム・クラークは、日本のランドスケープや庭園から感じ取った印象を、俳句の形式に似せた詩に綴りました。また、「20の祝祷」と名付けられた詩を、訪れた神社や寺に残して来るという一連の作品を制作しています。この作品は、願いを書いた絵馬やお札を神聖な場所に奉納するという日本の習慣を踏襲しています。元々「20の祝祷」は、カルミナ・ガデリカに収められた「ケルトの祝祷と祈祷」という礼拝式文を引用したものです。この詩は中山庵にも収められており、それにより日本とケルトの精神が見事に融合され、両者の類似性も浮き立って見えます。

 

 

寺院(テンプル)プロジェクト

 

このプロジェクトの開始にあたり、アーティストのデヴィッド・ウィリアムスは3週間に渡り日本に滞在し、京都の寺院や山口の日本庭園などで作品を発表しました。その際の作品群は、写真誌であるポートフォリオ(Portfolio)誌で特集されました。また、20049月に行われた京都の愛宕念仏寺でのプロジェクトには、アラン・ジョンストン、アダム ベーカーミル、グレアム・トッドなどのアーティストが加わり、プロジェクトの更なる発展に貢献しました。その他、2005年にはカレン・フォーブスがプロジェクトに参加し、今後は、2006年に行われる「女性の秘めたる叫び」展の準備のため、3月にマリアン・エイゲンヒールが京都を訪れます。

 

 

過去のイベント

 

カレイドスコープ展:大阪アートカレイドスコープOSAKA05

 

副題に「交通するアート -万華鏡的複眼思考のススメ」と名付けられた同展は、エジンバラ芸術大学教授のアラン・ジョンストンの企画により、2005年の3月に大阪府立現代美術センターで開催されました。

ジョンストンは同展のカタログの中で、デヴィッド・ブリュースタ、パトリック・ゲディス、ロバート・ルイス・スティーブンソン、ヒュー・マクダーミッドなど、スコットランドにゆかりの深い詩人や文化人の名前を挙げ、スコットランドにおけるポスト啓蒙思想と関係性の深い作品を紹介する重要性を挙げています。また、マクダーミッドとイアン・ハミルトン・フィンレイの関係性を例に、下記のように説明しています:

 

「この2人の詩人の類似点を探ることで、カレイドスコープ展が指し示そうとする文脈がはっきりと見えてくる。それは両者に存在する、遊戯性と真剣さという相反する要素の共存である。本展覧会の起源にあるものは、歴史の中に継続して存在する諸事項、すなわち逃れることのできない文化的な相反性、「自己分離」である。」

 

また、ジョンストンはこのように続けます。

 

「カレイドスコープ展の根底にあるのは、膨大な憶測と空論だ。それがこれからどのようにして知識という領域に当てはめられていくのかが、この複雑性を帯びた試みの根本的な目的である。そのため、アーティストを選ぶ際には、アーティスト達が既に持っている概念や方法論を、この遊戯性と真剣さという逆説的なテーマに当てはめていかなくてはならないということが、いかに難解かを考えさせられることになった。」

 

本展では、アダム・バーカー・ミル、イアン・ハミルトン・フィンレイ、オラファー・エリアソン、ラグナ・ロバーツドゥティエなどの立体作品、また、アラン・ジョンストン、ダグラス・ゴードン、フランツ・グラフ、リチャード・タトル、リチャード・ライト、ショーン・シャナハン、鈴木たかしなどによるペインティングやドローイング作品、デヴィッド・ウィリアムス、ダグラス・ゴードン、トーマス・シュトゥルートなどの写真作品など、多くの実力派アーティストの作品が紹介されました。また、現代美術の作品群と共に、万華鏡の発明者であり、スコットランド出身の科学者であるデヴィッド・ブリュースタの「光学論文」、ブルーノ・タウトの著書である「日本の家屋と生活」、19世紀の化学発明家であるジョン・ゴーハムが発明した「カラー・トップ」と呼ばれる回転式の色彩ごま(その仕組みを使い、色彩の調和について研究を行ったり、物体のイメージが万華鏡的に増殖する様について考察を行った。)、C.Fスミスによる19世紀の万華鏡、また、アーティストのノーマン・ショーの万華鏡コレクションなど、歴史性の深い作品も展示されました。

 

 

 エジンバラ-山口2004:「視覚的思索」シンポジウム

 

「視覚的思索」シンポジウムは、山口大学の共催を得て、パトリック・ゲディス生誕150周年を記念して開催されました。また、専門的なシンポジウムの他に、制作活動、ワークショップ、パフォーマンスなどのイベントも行われました。

 

本事業は、日本において高まりつつパトリック・ゲディスの思想や活動に対する興味を反映し、企画されました。また同時に、空間性や哲学的象徴への共通の関心、ゲディスの打ち立てた空間性環境理念への興味など、様々な学術的要素が本事業開催の基点となっています。その他、こうした専門的な資料の他に、様々な研究者、アーティスト、建築家などによる視覚的な資料も多く提供されました。

 

また、山口という特有の地でシンポジウムが行われた事にも重要な関係性があります。それは、ゲディスの活動及び、スコットランドの思想やアートに対し、非常に明確な考察を行っているゲディス研究者たちの多くが、ここ山口を拠点としているからです。

 

シンポジウムの詳しい情報は、下記のホームページにてご覧いただけます。

http://ds.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~okutsu

 

シンポジウムの内容は、下記の資料において、英語と日本語の両言語で読む事ができます。

「パトリック・ゲディス『生い茂る葉によって我らは生きる』 奥津聖、アラン・ジョンスト、マード・マクドナルド、貞方昇(編)、山口現代芸術研究所、エジンバラ芸術大学(発行)2005. ISBN 1-904443-05-2


お問い合わせ

Logan Sisley(ローガン・シスレー

住所:
Edinburgh College of Art
Lauriston Place
Edinburgh
EH3 9DF

l.sisley@eca.ac.uk